トップページ >博物館ニュース >和歌山市立伏虎中学の職場体験

和歌山市立伏虎中学の職場体験

 平成25年10月1日~3日の3日間、和歌山市立伏虎中学校の生徒3名を、職場体験学習として受け入れました。
 初日は朝礼の後、展示室の見学、収蔵庫などバックヤードの見学を行い、午後からは、展示業務の体験として、マイミュージアムギャラリー「山東省からの贈り物」(10/1~12/1)の設営を行ってもらいました。これは、現在開催中の特別展「黄河と泰山展-中華文明の源と世界遺産-」(9/14~10/20)に合わせて開催するもので、15年前に「中国・山東省の至宝」を開催した際に山東省の使節団よりいただいた石製の香炉を展示します。
 資料を慎重に取り扱って展示し、解説文を打ち出した原稿をウッドラックパネルに張ってカッターで整形し、さらにそれをボードに釘で打ってもらいました。普段はやらない作業で、悪戦苦闘しながらも、最後はきれいに展示が完成しました。
山東省からの贈り物(2013)
 2日目は博物館の収蔵品の調査をお手伝いしてもらいました。12月からの企画展「仮面の諸相-乾武俊氏の収集資料から-」で展示する仮面の法量(寸法)を計る作業です。実際の資料に手を触れてもらうので、時計は外す、胸ポケットには者を入れない、資料の状態をしっかり把握する、紐穴付近を持つ、指先の感覚を鋭敏に、などなどきっちりとレクチャーをしてからチャレンジ!施設内で移動させる際も、ゆっくり慎重に移動し、緊張しながら丁寧に作業をしてくれました。
 午後からは、次回特別展「紀伊国・かせ田荘と文覚井―水とともに生き、水を求めて闘う―」(10/26~12/1)の資料提供用資料を作ったり、ポスターを折ったりするなど、広報の準備を手伝ってもらいました。
 3日目は、朝から関東の某美術館さんが当館の寄託資料を借用しに来る日でしたので、その見学。大きなトラックと、てきぱきと働く作業員さんが、学芸員の指示のもと資料を梱包していく様子を見てもらいました。梱包に当たっての注意など、預かっている側の博物館の学芸員として作業員さんとともに作業に没入してしまい、ちょっと中学生をほったらかしに…。
 その後、次回特別展のチラシを、関係する町域内で各戸配布するための準備作業。封筒に地区名を示したラベルを貼り、その地区内の戸数分づつチラシを入れていく地道な作業。でも、こうして準備したチラシが、いろんな人の元に届くことをイメージしてもらいながら、黙々と作業を続けてもらいました。
 午後からは受付やミュージアムショップ、展示室内の監視業務を体験。展示室にはちょうどテレビ局の取材が入っていましたので、監視しながら見学。職場体験で、結果的に博物館の仕事だけでなく、いろんなお仕事があること、そして働く人たちがいることを知ってもらえたと思います。
 受け入れた生徒さんから、次のような感想をいただきましたので、ご紹介します。
「私は、博物館で仕事を体験しました。博物館には色々な部があって、色々な役割がありました。収蔵庫でも、温度管理、湿度の管理など様々な管理があり、一人一人が責任を持って働いていて、責任とはこういうことなんだと言うことを改めて知りました。そして働くということは、社会の役に立つことでもあるなと思いました。私も大人になれば、働く立場になります。接客や、人と会話しなければいけない事もあると思います。緊張したりすることもあると思います。博物館で学んだ事は、裏には多くの人の支えがあるんだということと、責任ということを忘れずに、大人になった時、また働き始めた時に思い出したいと思いました。」
「博物館に来てもなかなか見ることのできない裏側をたくさん見ることができたのが、すごく良い経験になりました。面や刀などは見るだけではなくさわらせていただけたのは、うれしかったです。重さなどはさわったり持ったりしないとわからないので、貴重な体験だったと思いました。また展示も見に来たいと思いました。」
 緊張の中の3日間、お疲れ様でした。(主査学芸員:大河内智之)

ツイートボタン
いいねボタン