
2022年10月15日(土)~11月23日(水・祝)
この特別展では、津波から逃げ遅れた村人を高台の廣八幡宮(ひろはちまんぐう)に導いて、多くの命を救った「稲むらの火」の話で有名な濱口梧陵(はまぐちごりょう)(1820~85)ゆかりの資料を紹介するともに、幾度の地震津波に遭遇しながら、今日まで守り続けられてきた、梧陵の故郷である広村(有田郡広川町広)周辺に所在する廣八幡宮・明王院(みょうおういん)をはじめ、法蔵寺(ほうぞうじ)・養源寺(ようげんじ)・安楽寺(あんらくじ)の文化財を紹介します。
【展示構成】
Ⅰ 廣八幡宮と明王院 Ⅱ 法蔵寺と一空上人 Ⅲ 養源寺と日寛上人
Ⅳ 安楽寺と集う人々 Ⅴ濱口梧陵と安政地震津波
展示資料総数 176件312点
(うち重文1件1点、重文(附)4件28点、和歌山県指定3件5点、和歌山県指定(附)1件2点、広川町指定4件23点)
展示のみどころ
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①栖原(すはら)(湯浅町)の有力者が、廣八幡宮に鑑定書をつけて短刀を奉納しました。
鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて、山城国(やましろのくに)(京都府)の刀工・来国光が制作した刀です。本阿弥光忠(ほんあみこうちゅう)による、貞享2年(1685)の折紙(鑑定書)が付けられています。刀を収納する箱には、宝暦7年(1757)3月に栖原(湯浅町栖原)の北村半平が八幡宮に奉納したことが記されています。
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②江戸時代以前の廣八幡宮の歴史を語る数少ない仏像です。
現在は明王院(広川町上中野)の護摩堂(ごまどう)の本尊で、江戸時代は廣八幡宮境内の観音堂に安置されていたようです。太く張りのある頭部や体軀(たいく)、面貌(めんぼう)表現は鎌倉時代後期から南北朝時代の作風を示しています。胎内(たいない)に法華経(ほけきょう)を写した経巻6巻が納められていました。経巻の末尾に、元徳元年(1329)10月20日に僧乗遍(じょうへん)が仙光寺本尊の中にこの経巻を納めたと記されていたことから、仙光寺に安置するため元徳元年に制作された仏像であることが判明しました。仙光寺は廣八幡宮の別当寺とされていますが、その存在はよくわかっていません。すでに江戸時代には仙光寺はなく、仙光寺の塔頭(たっちゅう)であった明王院と薬師院だけが、廣八幡宮に隣接して建っていました。

③廣八幡宮の近くの陶器場(とうきば)で焼かれた磁器製の狛犬(こまいぬ)が、神様を守っていました。
廣八幡宮の境内地である男山の陶器場で焼かれた狛犬です。この陶器場は、紀伊藩から資金的援助を受けた崎山利兵衛(さきやまりへい)によって開かれ、ここで焼かれたやきものは「南紀男山焼」といわれました。狛犬の体は黄、たてがみや尾などの毛や巻毛文(まきげもん)は緑、口の周囲や眼球は紫、歯や白目は白の釉薬(ゆうやく)が施されています。頭部、後脚(うしろあし)、尾などは別につくられ、素焼きの後に胴とつなぎ合わされたとみられます。南紀男山焼を代表する陶工・光川亭仙馬(こうせんていせんば)が関与していたと考えられます。南紀男山焼のやきものとしては最大級の大きさです。

④濱口梧陵の子孫が、和歌山ゆかりの画家に依頼した梧陵の肖像画
津荷村(つがむら)(串本町)出身の画家・浜地清松(はまじせいまつ)(1885~1947)が描いた濱口梧陵(1820~85)の肖像画です。ナイアガラの瀑布(ばくふ)を見る濱口梧陵の写真をもとに制作されたとみられます。浜地は明治34年(1901)に移民として渡米した後に美術を志し、ニューヨークを中心に活動しました。昭和2年(1927)にはパリに渡り、翌年帰国しています。その後、東京にアトリエを構えました。浜地は東京の和歌山県人会「不老会」などにも参加し、ヤマサ醤油を経営する濱口家とも交流をもつようになり、濱口家からの依頼で制作されたとみられます。
展覧会情報
会期 | 2022年10月15日(土)~11月23日(水・祝) |
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開館時間 | 9:30〜17:00(入館は16:30まで) |
休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 一般:830円(680円)、大学生:520円(410円) ※( )内は20人以上の団体料金。 ※高校生以下・65歳以上・障害者手帳の交付を受けている方(同伴者を含む)は無料。 ※和歌山県内に在学中の外国人留学生は無料。 ※11月6日(第一日曜日)は、有料。 ※関西文化の日(11月19日(土)・20日(日))、ふるさと誕生日(11月22日(火))は無料。 |
主催 | 和歌山県立博物館 |
後援 | 広川町、広川町教育委員会 |
関連事業
博物館講座
いずれも、13:30~15:00 / 会場:近代美術館2階ホール
※事前申込制(先着各50名)
10月12日(水) 9時30分より、電話:073-436-8670 で受付開始
※新型コロナウィルス感染症流行の状況により、中止となる場合があります。
必要に応じて、事前にご確認ください。
①10月23日(日) | 「紀伊徳川家と広川」:当館学芸課長 前田正明 |
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②10月29日(土) | 「安楽寺歴代住職とゆかりある文人の書画について」:当館学芸員 新井美那 |
③11月6日(日) | 「濱口梧陵文庫の世界」:県立図書館主査 松本泰明 |
ミュージアムトーク(展示解説)
10月15日(土)、11月12日(土)、11月20日(日)
いずれも、13時30分から1時間程度 /会場:当館1階展示室
※当日受付カウンターでお申し込み下さい。
※新型コロナウイルス感染症流行の状況により、中止になる場合があります。
特別展図録のご案内

