会期：2022年01月29日（土）～2022年03月06日（日）
長い海岸線、深い山と森、そして滔々たる川の流れ。雄大な自然環境のなか、和歌山県には高野山や熊野三山などの霊場をはじめ、住民が幾世代にもわたって祈りを捧げてきた寺社が各地の集落に受け継がれています。そしてそこには、数多くの仏像が伝えられています。
祈りの対象である仏像は、たとえ傷んだり壊れても修理を重ね、数百年、千年の時を超えて継承されてきました。それゆえに仏像は、人々の祈りの蓄積と、地域が経てきた歴史を物語ってくれる大切な文化財でもあるといえるのです。
和歌山県では、そうした仏像が盗難被害に遭う事例が増えています。背景には集落の人口減少や高齢化が進み、寺社の日常的な管理が難しくなっている状況があります。積極的な防犯対策を進めるとともに、人々の信仰と歴史の蓄積をものがたる大切な文化財を失わないための、これからの保護のあり方を模索していく必要があるでしょう。
この企画展では地域で守り継がれた仏像と、盗難被害に遭った仏像、そして県立和歌山工業高等学校・和歌山大学と連携して製作した「お身代わり仏像」を活用した保護の取り組みを紹介し、文化財をみんなで守るこれからのあり方について考える機会とします。
展示のみどころ
十一面観音立像（じゅういちめんかんのんりゅうぞう）
平安時代（12世紀）
西山観音堂蔵 紀の川市指定文化財
紀の川市貴志川町西山に所在する西山観音堂の本尊で、平安時代後期に造像された優美な姿の仏像です。像高182.4㎝、等身大の大きな像ですが、平成30年3月に盗難被害に遭い、同年6月に転売先が判明して取り戻されました。被害時の衝撃で、仏像の台座や光背（仏像の背後に立てられた光り輝くようすあらわす部品）が破損してしまい、令和3年度に、紀の川市の補助金を得て台座・光背の修理を行いました。今回の展示が修理後初公開です。
千手観音立像（せんじゅかんのんりゅうぞう）
平安時代（12世紀）
千光寺蔵 橋本市指定文化財
橋本市高野口町上中に所在する千光寺の本尊で、平安時代後期に造像された、穏やかな姿にあらわされた仏像です。像高104.9㎝。平成22年9月に盗難被害に遭い、翌年4月の犯人逮捕後に、転売先から取り戻されました。被害に遭った際には、多数の小さな手が壊れてはずれ、堂内に散らばっている惨憺たる状況でしたが、その後の修理により元の姿を取り戻しています。今回の展示が寺外での初公開となります。
展覧会情報
| 会期 | 2022年01月29日（土）～2022年03月06日（日） |
|---|---|
| 開館時間 | 9時30分～17時（入館は16時30分まで） |
| 休館日 | 月曜日 |
| 観覧料 | 一般280円（230円）、大学生170円（140円） ※（ ）内は20人以上の団体料金。 ※高校生以下･65歳以上･障害者手帳の交付を受けている方（同伴者を含む）は無料。 ※和歌山県内に在学中の外国人留学生は無料。 ※毎月第一日曜日は無料（会期中では2月6日（日）・3月6日（日）） |
| 主催 | 和歌山県立博物館 |
ダウンロード／File Download
和歌山県立博物館が保管する所蔵者不明の盗難文化財について (ダウンロード / PDFファイル / 1.78MB)
ポケットブック ―仏像を盗難から守るために― (ダウンロード / PDFファイル / 403.45KB)
出陳資料目録 (ダウンロード / PDFファイル / 155.27KB)
チラシ (ダウンロード / PDFファイル / 1.82MB)
