トップページ >博物館ニュース >大毘盧遮那成仏経疏(館蔵品254)

大毘盧遮那成仏経疏(館蔵品254)

大毘盧遮那成仏経疏(館蔵品254)
大毘盧遮那成仏経疏巻一本(巻首) (巻一本 巻首) 大毘盧遮那成仏経疏巻一末(巻末) (巻一末 巻末)
大毘盧遮那成仏経疏巻二末(巻末) (巻二末 巻末)
 ※画像はクリックでいずれも拡大します。
【刊記】
(巻一末・巻二本・巻二末 刊記)
「為酬四恩之広徳興三宝之妙道/開五巻疏之印板矣/元和二〈丙辰〉年三月廿一日/高野山金剛三昧院第三十四代良算」
「大日経疏」とも略称される中国・唐代の仏教書で、大日経の根本注釈書です。
善無畏が『大日経』を翻訳したとき、その内容を講じたものを一行がまとめ、自己の意見も若干加えました。
単なる字句の解釈にとどまらず、大日経の思想を再構成し、密教の発展に大きな役割をもったといわれます。
この史料は、元和2年(1616)印刷された粘葉装の高野版(4冊)です。
この時の開版には、高野山金剛三昧院第34代良算が関わっていたことが刊記からわかります。
本資料は、現状で巻一(本・末)・巻二(本・末)の都合4冊あり、巻三を欠きます。
高野版とは、広い意味では高野山内で版が彫られ、出版された書物(仏書)全般を指しますが、
なかでも鎌倉時代~江戸時代の前半頃までは形態がよく似ているため、
狭い意味ではこれらのみを高野版とも呼んでいます。
(当館学芸員 坂本亮太)

ツイートボタン
いいねボタン